『姑獲鳥の夏』見ました。

とりあえず、原作読んでないとちんぷんかんぷんだろうなぁと思いました。
僕はちゃんと文庫版読んでいったんで良かったんですけど。
その上で相当原作にほれ込んでる人は、これは不満だろうなあ…とも思いました。
つまりこの映画は『原作は読んだけどそんなに大好きってわけでもなくでも映画はちょっと気になるかも』な人なら見ても後悔はしないと思います(そんな人どれだけ居るんだよ、というギャグです)。しかも、いや、満足できるわけではない!
まず第一に時間が短すぎる。2時間て……素人目に見ても3時間は必要です。3時間は長すぎるならせめて2時間半。それでずいぶん変わると思う。京極ファンは長いのにはなれてるので、クオリティが高ければ3時間でも我慢して見てくれると思いますよ。一般の人? 知らん! だって事件が全然不思議っぽくないんだもん。もっと引っ張らなきゃ…。え、密室なの、そうじゃないの、え、何なのよ、あれ、もう解決編? は? みたいになっちゃってます。
そして脚本がダメすぎる。薀蓄は垂れ流し状態だし、原作で味わえた『繋がる感』がぜんっぜん無い。ぽんぽん取っちゃつけてな印象が拭えないんですよ、解決編が。未読の人が見たらただのトンデモミステリになっちゃいますよ、これじゃ。もともと基本的にアンフェアなんだから……。複線の張り方がダメすぎる。原作を読んでいったにも関わらず『おいおい』と思うレベルでしたから。だいたい憑き物落としのシーンが意味がわかんない感じなのが致命的だ! ガッデム! ポォー!(発狂)あと榎木津はもっといいキャラだろ! 折角阿部寛なのに! 脚本のチェックくらい入れて欲しいなあ…と思ってしまいます。やっぱ原作つきの映画には期待できないな。惜しむべきは、これを見て原作を読もうと思う人は恐らくほっとんど居ないだろうということかな。映画だから当然ネタバレ全開だからもうトリックは分かっちゃうし、なんかトンデモっぽいんだなと思われちゃうし、挙句なんで分厚いの? とかなっちゃうだろうなぁ……ああ、悪循環。
いや、けちょんけちょんに言ってますが、良かった部分もあるんですよ。とりあえず京極堂はカッコよかった! 賛否両論あるでしょうが、これが否の人は映画のどこも楽しめないんじゃないのかって感じです! 悲しいことに……。まあとにかく、僕は良いと思いました。あと、セットとかは頑張ってるなあと思いました。ところどころやすっちい映像が入ってくるのは邦画の宿命なので諦めます。しかし『うぶめ』がアホっぽいのは致命的……。
演出も、完全に浮いちゃってたりする部分もあって、あぇーみたいな。あれ、褒めてないな僕。いや、いいところもあったんですよ。メイントリックはそうするか、って感じでした。まあその演出は良かった。でもさぁ、カーテンをちょっとしか開いてないのに勝手に全部開いたりとかさ、突然大文字でドカーンと単語が出たりさ(独逸が読めない僕はバカ)、スポットライトとかはどうなのよ? 話してるときのスポットライトはまぁ演出的に見れないこともなかったけど(でも文化祭みたいじゃないか? あれ)、眩暈坂のは幾らなんでも変すぎる。そういう演出をする監督さんなんでしょうか? ぬぅ…日本映画の伝統だ、と友達は言っていたのですが…くどすぎません? ちょっとなら効果的ですけど、全編に入れられると……。あ、でも日付のヤツは好きでしたよ。意味がないものが、美しいんです……(森博嗣)。
まあ、僕は高校生3人フェアで1000円で見れたし、何より田中麗奈が可愛かった!
もうこれだけで満足ですよ。うはは(アホですな)
いや、でも田中麗奈は良かったと思う。ナイス配役。あと篠原涼子びじーん。関口と結婚してるのが超謎ですね。でも、やっぱ役者さんたちは良かったですよ。演技は素晴らしかった。(京極さんとかね!)惜しむらくは脚本と上映時間と演出……(……)。次回作は、あるんですかねぇ? 平日昼間でしたけどかなり混んでました。そんなに広くない劇場ですが、ほぼ満席。学生さんよりも大人の女の人が多かったかな? 売り上げ的にはいい記録が出そうですね。評判はどうかな…。
まあ、田中麗奈が可愛かったので、次があったら、見ます。
ブックカバーと扇子を買った僕はやっぱりなんていうか、『良い客』なんだろうなぁ…。搾取されていく!
魍魎の匣』、これから読みます。