青木淳悟『クレーターのほとりで』を読んだ。

大きく分けて二部構成で、昔と現在なんだけど、昔のほうが楽しかった。ぶっ飛びっぷりは『四十日〜』以上だった。
現代のほうは創造的ではあるんだけど、読ませるフックが弱すぎないかなぁ? なんというか、「はぁ、それで?」って気分になっちゃう。すごく上手いし、色々なことが起きて、「おいおいそりゃないだろ!」っていい意味でつっこみたくなっちゃったりもするんだけど、最終的に「はぁ、そうっすか」みたいな。コミカルなのか現代社会への批判なのか。うーん、良く分からないところがこのもやもやを残すのかも。あとところどころ文章が甘いのが気になった。『だが』を使うべきところで『けれど』とか、読んでて引っかかる表現があった。そういうのは統一して欲しいな。基本的に読みやすい文章(読みにくい内容)の人だから、もっと文章が洗練していったら内容との対比で面白いことになりそう。
保坂和志『小説の自由』の中で『クレーター〜』を絶賛してるけど、どうにも僕には合わないっぽい。再読することで面白さが増す、っていうのは『四十日〜』は確かにそうだと思うけど、残念ながらこっちは再読する気分になるかといわれると、ちょっと微妙。