鹿島田真希『二匹』を読む

文藝賞の作品は結構読んでて、

を読んだわけだけども、いまんとこそんなに外れは無い。話題先行な賞のイメージが最近はつきまとってるけど、結構信用しても問題ないと思う。だから次は三並夏平成マシンガンズ』を読みます。最近河出文庫リニューアルに伴って一気に文庫化が進んでるから、気になってる人はぜひ読んでみてください。っていうか『メイド・イン・ジャパン』の文庫化を切望。
で、『二匹』。
鹿島田真希さんの作品は『六〇〇〇度の愛』を読んだことがあるだけなんだけど(今月の新潮にも載ってましたね、新作)、うーん、やっぱりつかみどころの無い作風だなぁー。ハッキリ言って難しい。青木淳吾さんにしろ鹿島田さんにしろこういうのが文学なのかね…。と不安になります。
確かどこかで舞城王太郎との比較がなされてて、『男は舞城王太郎、女は鹿島田真希の時代になる』みたいなことが書かれてたんだけど、方向性は舞城と全然違うのだった。
舞城はかなり何が言いたいのか分かりやすい作風だと思う。逆に、鹿島田さんは難しい。『六〇〇〇度〜』は文体芸で楽しませてもらったから中身がぬぬぬでも問題なかったんだけど、今回の『二匹』はちょっと文章が稚拙(多分意図的だけど)で、しょーもねえギャグ連発だわ思わせぶり伏線炸裂だわな作品だった。でもラストのほうの『人間の関係性』についての考察はなかなか面白くて、そこにいたる過程として物語が上手く機能してるかっていうと疑問符なんだけど、まぁそれでもこの結論は興味深いです。鼻血塗れのティッシュを何も言わずに相手の手に置いて捨ててもらう関係、そういうのが出来上がるっていうことが何と言うかすごいな、と思った。あぁでもあらすじは詐欺だと思う。以下引用。

明と純一は落ちこぼれ男子高校生。何もできないがゆえに人気者の純一に明はやがて、聖痕を見出すようになるが……。<聖なる愚か者>を描き衝撃を与えた三島賞作家によるデビュ−作&第35回文藝賞受賞作。

聖痕、ほとんど話しに絡んで無いと思うんですけど…。結で確かに聖痕に言及はするけど、そこが話の中心ぢゃないじゃん。
後、この二人のテンションがドラマ『野ブタ。をプロデュース』の山ピーの彰のテンションがどうも似てるなぁと思ってしまった。まぁ多分関係ないけど。(『野ブタ。』も文藝賞受賞作です)
あ、巻末の解説で陣野さんっていう評論家が佐藤友哉『子供たち怒る怒る怒る』とこの小説が似てるみたいなことを書いているので、ユヤタンファンも読むといいと思うよ! 多分騙されたって思うから!