正解に一番近い場所

知り合い(共に名前と顔が一致し、お互い読書が趣味だと認識し合っている程度の間柄)のひとが『メフィスト賞』に応募し、誌上で講評され、編集者のひとと会えるかもしれないところまで行っているようだ。
最悪の諦め方が目の前に迫ってきたのかもしれない。身近にそこまでのレベルの人が居るならば、自分はやはりそうでは無かったのだと考えてしまうのは僕が卑屈だからだろうか?
別に僕はそいつのことを良く知らない。そいつが書いた文章を読んだことがあるわけではないし、そいつがどんな作家がすきなのかも良くしらない。
しかし、身近にそういう人間が居る、ということは、例えばもうほとんどごくごくわずかな確率でありえたかもしれない『椅子』が取られてしまったようなものだ。僕が地面を這って座ろうと狙っていたところが、辿り着いてみたらもう既に座られていた、そういう気分になる。
小説を書くことが楽しかった時期はとうに過ぎてしまったのかもしれない。書けば書くほど僕の中に卑しい感情ばかりが積もっていくような気がする。